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ごあいさつ
 
三学会構成心臓血管外科専門医認定機構
代表幹事 椎谷 紀彦

2023年1月から、三学会構成心臓血管外科専門医認定機構(以下心血機構)の代表幹事を拝命した、浜松医科大学の椎谷紀彦です。心血機構には、当初は試験問題委員として、2013年からは監事として参画させていただき、2018年からは委員・総務幹事として5年間、前代表幹事である種本和雄先生の下で勉強させていただきました。心血機構のミッションである「外科関連サブスペシャルティとしての心臓血管外科専門医の育成、認定を通じて、社会に貢献すること」を、皆様と共有しながら精一杯努めて参りますので、ご協力の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
 心血機構は2001年、欧米の専門医制度に匹敵する専門医資格と、それを実現するためのプログラムの確立を目指し、学会から独立した組織として、日本胸部外科学会・日本心臓血管外科学会・日本血管外科学会の代表で構成され発足しました。当初は日本胸部外科学会の認定医・指導医制度を引き継ぐ形でした。初代の北村惣一郎先生と第2代の龍野勝彦先生は、心血機構の制度設計とシステム構築に尽力され、専門医の質維持のため再教育プログラム・再認定規定の制定、医療安全講習の充実、認定基準の見直しに取り組まれました。第3代の幕内晴朗先生は、専門医のさらなる質向上のため、更新規定や修練指導者資格の基準制定、修練医の職場環境の改善、施設集約化に尽力されました。第4代の橋本和弘先生は、専門医制度にNCDシステムの活用を導入され、専門医新規・更新申請手続きの大幅な簡素化及び専門医の質の管理に関する精緻化を成し遂げられました。また先生のご尽力により発刊された「心臓血管外科専門医認定試験過去問題集」は、専攻医教育の大きなツールとなっています。第5代の種本和雄先生は、新専門医制度における外科サブスペシャルティとしての心臓血管外科領域の整備基準を策定され、日本専門医機構の方針転換や体制刷新による混乱にCOVID-19パンデミックが加わった大変困難な局面の中、第1期生の認定を無事終えるという、大変大きな仕事を成し遂げられました。また、認定登録医制度や専門医再取得制度を整備し、さらには日本循環器学会との困難な交渉を経て、心臓血管外科専門医による循環器専門医取得への道を広げてくださいました。バトンを受け取った私に与えられた使命は、諸先輩が築いてこられた制度を継承し、時代のニーズに即した形でミッションを果たしていくことであると考えております。
 心臓血管外科は、外科サブスペシャルティのなかでも特に志望者不足が著しい領域です。要因は沢山あると思いますが、修練期間の長さ、拘束時間の長さ、責任の重さ、リスクの高さにもかかわらず、目に見えて得られる対価が他の領域と変わらない、といった点が共通の認識かと思います。修練期間の長さや責任の重さは、やりがいの大きさという、職業本来が持つ魅力と表裏一体なのですが、現状では、これら負の側面が魅力を大きく凌駕しているのだと思います。昨今の働き方改革や循環器病対策推進基本計画といった施策は、この現状を打破する良い契機になり得ます。ただし、最優先事項である医療の質と量の維持を実現しつつ、これらの新しい時代のニーズに応えていくためには、施設の集約化を通した、医療の質と量の維持、タスクシェアによる良い職場環境の実現、専門研修の効率化が不可避であると考えます。
 新専門医制度への対応で、専門医取得までの期間は短縮されました。しかし、この軌道修正によって、専門医像の見直しも余儀なくされており、これへの対応も急務です。心血機構設立当初の理念である、欧米の制度に匹敵する専門医、すなわち独立して手術を指揮することが出来る外科医には、現在の修練指導者資格が該当すると考えられますが、今後は、これをより明確にしていくことも必要であると思います。
 我が国の制度は、胸部外科をベースとする欧米とは異なり、呼吸器外科とは袂を分かち、心臓外科領域と血管外科領域両者を内包したものとなっています。これには、心血機構設立当時の我が国の状況が色濃く反映されています。時は流れ、血管外科領域の専門性が我が国でも確立されていますが、成人心臓外科と血管外科にはオーバーラップ部分が多く、また社会の高齢化・生活習慣病の増加に伴い、心臓病と血管病の両方を有する患者も増加しています。心臓血管外科専門医として両者を内包することは、この点において大変有意義なことだと考えます。かかる状況に対応するためには、先天性心疾患を専門とする先生方を含め、全ての領域の先生方にとって公平な制度を構築していかなければなりません。外科専門医の2階である心臓血管外科専門医の上に、専門領域を反映した3階部分を整備し、集中治療管理を含めたinterdisciplinary teamを育成していくことも、心臓血管外科医療の未来を見据えて重要なことであると思います。
 心血機構では、高いモチベーションを持って私たちの仲間に加わってくれる次世代の先生方に明るい未来を提示できるよう、多くの皆様のご意見を頂きながらこの道を進んでいきたいと考えています。高いレベルの心臓血管外科診療を遍く国民に提供できるシステムを構築するために、是非とも皆様のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

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