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ごあいさつ
 
三学会構成心臓血管外科専門医認定機構
代表幹事 種本 和雄

2018年1月18日の三学会構成心臓血管外科専門医認定機構(以下心血機構)の総会で、橋本和弘代表幹事が6年の任期を終えられ、種本和雄が後任の代表幹事をお引き受けすることになりました。初代の北村惣一郎先生、そして第2代の龍野勝彦先生は心臓血管外科専門医制度の制定と心血機構のシステム構築に尽力され、さらには専門医による手術死亡多発事件への対応として、心臓血管外科専門医制度に罰則規定(専門医資格の一時停止、取り消し)と再教育プログラム・再認定規定の制定、医療安全講習内容の充実、心臓血管外科専門医制度の基準見直し(術者経験数や修練施設手術数の引き上げ)に取り組まれました。第3代の幕内晴朗先生は専門医のさらなる質向上(更新規定や修練責任者の基準引き上げ)をはじめ、名誉専門医制度の制定、修練医の職場環境の改善、よりよい修練施設の構築のための施設集約化に尽力されました。第4代の橋本和弘先生は、専門医制度にNCDシステムの活用を導入され、専門医新規申請、更新申請手続きの大幅な簡素化及び専門医の質の管理に関する精緻化を成し遂げられました。また、「心臓血管外科専門医認定試験過去問題集」の発刊にも尽力され、同書は専門医試験の受験準備のための大きな道標となっています。さらに、新専門医制度に向けて他領域に先駆けて心臓血管外科領域で準備を進められたのも大きな功績です。日本専門医機構の方針転換、体制刷新などの問題もあり、当初描いていたような理想形にはまだまだ遠いのが現状ですが、新制度に向けて重要な道筋をつけてくださったことも大きな仕事でした。
 新専門医制度への移行はこれからが正念場であり、日本専門医機構、日本外科学会との交渉事も続々と出てまいりますが、国民のため、専攻医のため、また我が国の心臓血管外科診療レベルの向上に資する制度として維持、発展させていかなければならないと感じております。本来、専門医制度はプログラム制で運営されるのが理想であると言われており、多くの先進国の専門医制度がプログラム制で成り立っているのは事実です。従って我が国の専門医制度もその方向に進んでいくべきであり、1階部分の外科専門医制度がプログラム制でスタートを切れたことは大きな進歩です。次は2階部分のサブスペシャルティにも、そのプログラム制を導入することを視野に入れて対応することが重要です。当面は新制度の中では外科サブスペシャルティ領域はカリキュラム制ということが決まっていますが、その中でもできる限りプログラム制に近い部分を導入することを目指します。来るべきサブスペシャルティ領域のプログラム制導入に向けて、着実に準備を進めておきたいと考えています。
 毎年行っております専門医試験の時の受験者アンケートを見ておりますと、若い世代が現行専門医制度に対して感じている不安、不満および希望、専門医を目指す情熱などを感じることができます。特に毎回多くの意見を頂くのが専門医のインセンティブです。苦労して取得し維持している専門医資格が、その専門医にとって目に見える形でメリットとなることを求めている若手が多いことは以前から感じています。今までは触れられてこなかったこのような問題に対してもタブー視することなく積極的に議論していくことが若手の期待に応える道だと感じています。
 新しい専門医制度に向けて三学会構成心臓血管外科専門医認定機構では多くの皆様のご意見を頂きながらこの道を進んでいきたいと考えています。心臓血管外科専門医制度と心臓血管外科医の明るい未来のため、また高いレベルの心臓血管外科診療を遍く国民に提供できるシステムを構築するために、是非とも皆様のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

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